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昨日の診療の方で再治療開始の1回目の診療時です。クラウン(被せ物)を除去して、レジンコア(土台の材料)を除去したら写真のような感じです。
中が完全に割れてました・・・。涙
折れた歯を接着で何とかしようという考えでやっている歯科医師も結構いるかもしれません。先日もある雑誌にそのような記事が出ていました。
しかし、接着剤で折れた歯をくっつけるというのはかなり無理があります。
大抵は抜歯になります。
今回は明らかに歯が折れていて離断していましたのですぐに仮詰めして中止の対応となりました。残念ですがやむを得ないですね・・・。
術前のデンタルX線写真2枚です。右下の第一大臼歯(右下6番)の近心根、遠心根(2本に分かれた根)共にX線透過像(黒い影)を認めます。特に近心の方はかなり大きいです。
術後4年を超えて経過観察で来院された時に撮影したデンタルX線写真2枚です。X線透過像はほとんど消失し治癒している可能性が高い事が明確になっています。
今日は経過観察の患者さんが多くバタバタしていました。
一般的に根管治療した場合は根管充填(RCF)した日から術後3ヶ月過ぎたら一度当院にて経過観察を行い、治癒してきているか?治癒しなくて外科的歯内療法へ移行するのか?を見極めます。
そして最終的には4年間経過を追って、予後を評価します。歯内療法専門医は根尖性歯周炎の予防と治療に特化した歯科医師です。責任もって経過を診る事も重要になってきます。
今日は日曜日ですが当院の診療日でした。午後に用があったため、何と朝7:30から診療開始!朝弱い私ですが、何とか起きて無事3名の診療が終わりました。
今日の方で歯の下の部分(髄床底)にヒビ(クラックライン)が入っているのを確認した患者さんがいらっしゃいました。
いわゆる歯牙の破折ですが、多くは抜歯になる事が多いです。しかし、今日の破折の場合は周りの付着が破壊されておらず、まだ抜歯しか選択肢がない訳ではありませんでした。抜歯になる方が多いのでまだラッキーかもしれません。
治療終了後に患者さんには、①今後は費用対効果が悪くなり、歯がいつダメになるかわからないリスクをご理解頂いた上で保存する。②リスクを取らず、現時点で抜歯する。という2つの選択肢をご説明し、ご理解頂いた上で①を選択して頂きました。
もってくれれば良いですが・・・。あとは祈るのみです。
根管治療途中で歯科医院に行かなくなって治療を中断していた若い女性の患者さん事例です。
「治療途中で行かなくなっちゃって、何かを咬んだらバキっと音が鳴ったんです!」との事です。(苦笑)
折れている可能性をお伝えした上で再根管治療を開始しました。浸潤麻酔してレジンの築造をマイクロスコープで見ながら除去していったら・・・。
あらら・・・。折れてますねえ・・・。しかもくっきり2本の破折線・・・。
口蓋側は肉眼でも破折線らしきものがエナメル質表面から見えていましたが、ポケットは4mmだったので気になっていましたが、近心にはもう1本の破折線を視認。明らかに離断していて保存不可と判断しました。
すぐに水酸化カルシウムを貼薬してキャビトンで仮封して終了しました。残念ながら治療中止です。まあ、患者さんには早くわかって良かったですね。とポジティブに考えるようにお伝えしました。
若いのに残念ですね。ちゃんと予約を守らず通院しないと歯が割れて神経取るだけではなく、いきなり歯を取ることになってしまいますので気をつけましょう。
カナダ人で現在、日本に住んでいる方です。さすがは西洋人です。根が長い!!!
かなり前に右下6番(右側下顎第一大臼歯)の根管治療(神経を取る治療)をカナダで受けたとの事です。まあ、それなりに頑張って根尖部(根の先)までは頑張って薬を入れてある雰囲気です。
しかし、両方の根の先には黒い影があり、今回日本で痛くなってしまったそうです。根尖性歯周炎の急性化ですかね・・・。
そして、近隣の歯科医院を受診して再根管治療を開始したのですが、何回通っても痛みが引かないという事で、今回紹介してくださった歯科医院を受診されて応急処置を受けたら症状は落ち着いたとの事です。
ただし、今回のレントゲンを見るとわかるのですが、根の分かれている部分(根分岐部)に削った跡があります。カナダの歯科医院でやったのか?日本の歯科医院でやったのか?は定かではありませんが、穿孔(パーフォレーション)がありそうです。よって、かかりつけ歯科医院の先生は歯を抜くか?歯内療法専門医に診てもらうように説明したそうです。
通訳の方と一緒に来院されましたが、私の英検3級の自慢できない片言の英語で何とか説明し、せっかくなので通訳の方にもお願いし、治療の選択肢と費用、予後をご説明しました。
やはり若いカナダ人だからか、「抜歯してインプラントにするよ!」みたいにあっさりと返答。まあ、抜歯は立派な治療法ですし、今回は穿孔しちゃっているので間違いではありませんが、何とも悲惨です・・・。
少なくとも再根管治療は安易に手をつけるべきではありません。何でもない歯が一気に抜歯になる可能性があります。
画像は術前術後のレントゲンで、下の前歯2本の再根管治療(根の治療のやり直し)の症例です。
「前医で何回も根管治療(根の治療)をやったが腫れが引かない。」という状況で私の出張先の医院に転院してきた方です。
術前に丸く大きい黒い影(X線透過像)がありますが、術後に小さくなっています。
この患者さんは私の根管治療が終了して3か月後の経過観察が会社の転勤のために受診できなくなってしまい、東北の同じ勉強会(PESCJ)の先生へ紹介させて頂きました。
紹介先の先生も私と同じ歯内療法の教育を受けているので非常にスムーズです。
状況としては歯頚部(歯の付け根の部分)に穿孔(パーフォレーション)を認め、感染レベルもかなり重篤の状況でしたが、MTAで穿孔修理を行ったのちに根管充填(神経の管に薬を詰めること)や支台築造(土台)を行いましたが、幸い治癒傾向(治っている)を認めます。
今回は歯内療法外科(根尖切除術や意図的再植術など)を行わなくて済みそうです。
長期的にはどうなるかはまだわかりませんが、とりあえずはめでたしめでたし!
術前のレントゲンです。右側の一番奥の下顎第二大臼歯の根尖部にX線透過像を認めます。
根管充填(神経の管に薬を詰める作業)後です。根管充填材は理由があってMTAセメントを使用しています。
この患者さんはかかりつけ歯科医院にて抜歯と言われたそうですが、当院には紹介状を持って初診のコンサルテーション受診されました。
かかりつけの歯科医師もきちんと対応していて良い先生だと思います。
「判断が難しい」や「不得手なところは紹介」という意思決定がきちんとできる歯科医師がいる歯科医院に通いたいものです・・・。
ちなみに今回のX線透過像の原因は色々と疑いはありましたが、主な原因は根尖性歯周炎であり、当院でマネージメント可能と判断しました。初診時に腫れていましたが、2回目の根管充填時には無事に腫れや症状も消えていました。
次回、当院にて支台築造をやってかかりつけ歯科医院にお戻しさせていただく予定です。
このようにGP(一般歯科医師)と歯内療法専門医とでは診断結果や処置方針が異なる症例が多々ありますので注意が必要です。
そして、根尖性歯周炎だけであればアメリカの歯内療法専門医の教育を受けた歯科医師であればほとんどマネージメント可能だと思われます。
神経を取った歯を失活歯と呼びます。
失活歯は深いむし歯になっても神経の痛みは起きません。よって自覚症状が出なくて中でむし歯が進んでいる事がたまにあります。
今回の写真の症例はクラウン(被せ物)を外したら軟化象牙質(むし歯の部分)が大量で、保存すべきか?抜歯すべきか?という感じでした。
定期的なチェックアップを受けて歯が悪くならないよう気をつけましょう。
今日は大学時代の同級生が治療で来院しました。
歯科医師の治療って結構緊張します。
緊張しないでできるようになったら1人前というところでしょうか・・・。
私はまだまだです。(笑)
「渡邉先生、抜髄お願い!」って感じでしたが、実際に診査してみると歯が動くではないか・・・。
まさかの・・・。歯根破折〜!
ちなみに抜髄って神経をとる治療です。イニシャルトリートメント(初回の根管治療)とも言えます。
歯は保存できないのですが、とりあえず根管治療してファイバーポスト使っての支台築造して1回の来院で終了しました。
最高級の応急処置ですなあ・・・。
残念ですが抜歯してインプラントしてもらってね〜。で終わりました。
残念無念でした・・・。
お大事にY子先生!
先日に続き、またまた破折ファイルがある症例の対応をしました。歯科医師の間でよくある話ですが、「2度ある事は3度ある」に近い事です。同じような治療内容や出来事が連発する事は我々の日々の臨床でたまにあることです。
赤丸の部分がファイルというヤスリのような器具が食い込んで折れてしまっている状況です。もちろん日常の臨床で誰でもあり得ることですので問題ないのですが。起こらない方が良いに越した事はありません。
今回のケースもマイクロスコープ下で確実に視認できて超音波チップで確実に動いたので除去できました。折れていても感染しなければ問題ないですし、無理に除去しようとして歯を削り過ぎるのも問題ですので状況によって判断が必要になります。
私事ですが、幸いマイクロスコープを使用するようになって(歯内療法の勉強をきちんとするようになって)ファイルを折る事がほとんどなくなりました。(というかここ数年は折っていません。)やはり自由診療にしてきちんと診療費を頂いているのでファイルを早めに使わなくしたり、使い捨てにしたりしていますので当然折れる確率は減ります。
また、色々な高額な器具を使用しますから、それぞれを大事に使用したり、形成のコツが少しづつですがわかってきて、器具に変な負担がかからないように出来ているのかもしれません。
今回の偶発症は比較的高頻度に起こります。もし起きてしまった時は速やかにマイクロスコープのある歯科医院へ紹介するよう一般の歯科医院でもルールかしてもらいたいものです。